2017年3月
保育心理士エッセイ

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冨岡 量秀
(大谷大学短期大学部准教授)


新要領・指針と真宗保育

 2016年度末3月に、新しい幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が出ます。そして2017年度の一年間をかけて、周知期間となってきます。2017年度は、この研修会が全国各地で開かれるでしょうから、私も学びますが、みなさまも研修会などに行かれ、学ぶ機会があるかと思います。
 さて今回の改訂(改定)には、いくつかのポイントがありますが、その中で3つの柱と幼児期の終わりまでに育って欲しい「10の姿」が出てきたことが挙げられます。そして、もう一つは小学校以上の学習指導要領の改訂と連動して、一貫した子どもの育ちと学びの道筋・地図が明確にされたということでしょうか。また、3歳から5歳までの「教育部分」の記述は、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領において統一され、わが国の「幼児教育」の「ナショナルスタンダード」となることが目指されていると思います。
 「教育」という面では、理念としての「社会に開かれた教育課程」が一貫して意識されています。それと連動した「カリキュラムマネージメント」の具体的な展開が求められ、提示していくこととなります。
 今までにもあった視点であり、求められていたことですが、改訂(改定)です!何やら難しい専門用語が出てきた!また特に「教育面」が前面に出されきた!などなど、戸惑うことが多くあるかもしれません。しかし(公益社団法人)大谷保育協会で実践をし、「真宗保育」を学んでいる私たちには、「当然の視点です」と受け止め、すでに実践で展開している、あるいは目に見える形(カリキュラムマネージメントとして)にすぐできるものが、今回の改訂(改定)だと考えています。
 例えば、今回の改訂(改定)で重要視されている、「どのように学ぶか:主体的な学び、対話的な学び、深い学び」などは、それこそ私たちが道標としている親鸞聖人の学ばれた「学び方」そのものだと言えるでしょう。そしてその「学び方」を通して育てたいと、特に重点を置かれている子どもの「非認知能力」と言われるものは、「真宗保育」がそもそも子どもたちに願ってきた育ちです。ちなみに今回の改訂(改定)の中で、この「非認知能力」という言葉自体は使われません。しかし重要視されている「ちから」と位置付けられています。例えば今回の新・幼稚園教育要領の「前文」には、「一人一人の幼児が、将来、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値ある存在として尊重し」という内容が明記されています。これなどは「あらゆる存在が尊い」ということを保育の基盤としている「真宗保育」が、子たちに願っている育ちです。
 今回のコラムでは、ほんの少しだけ、改訂(改定)の内容に触れ、「真宗保育」としての視点を提示しましたが、今回の内容には、まだまだ「真宗保育」の視点で読むことができますし、実践として応えていけるものだと考えています。これからもみなさんと一緒に学び、具体的にしていきたいと思います。



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