2016年9月
保育心理士エッセイ

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佐賀枝夏文
(大谷大学 名誉教授・高倉幼稚園 園長)

『すべてが、わたしの人生』

 サガエさんは、生きてきた人生で実にさまざまなことを体験してきました。これは、読者の方と共通していますから、格別のことではありません。その過ぎ去ったことのなかで、思い出の蓋が開くと、「後悔」や「反省」することもあります。だからでしょうか、やり直せたらと思うこともあります。つらい体験をしたひとから「もう一度やり直せたら・・・」ということを幾度も聞いたように思います。青年期、失敗するたびに「人生を消す消しゴムがあったら・・・」と考えたことがありました。
 そうですね、何度も何度も、こころが壊れそうになったことや、こころが傷ついた時もあります。もちろん、相手の方のこころを傷つけたこともあります。それから、ああしておけばよかった・・・、こうしなければよかった・・・と、つぎからつぎに湧いてきます。
 しかし、あのことがなかった人生はわたしのものではない、と言えたらいいとおもうのです。ぼくは、悲しい少年時代、迷走した青年時代も、すべてがわたしの足あとだとおもうのです。人生の「つらいこと」「悲しいこと」も、なかったことにはなりません。
そのことがあって、「わたしの人生」っておもうと、少し楽になりませんか。


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