2016年11月
保育心理士エッセイ

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本田 康英
(公益社団法人大谷保育協会 保育心理士会副代表・明徳保育園 園長)


 保育心理士は今後、今以上に保育現場においてとても大きな役割を担う、あるいは担うことのできる、必要とされる存在になると考えています。
 私の住む愛知県岡崎市は、来年度の4月から子ども発達センターが開設されます。ここでは発達に関する相談、通所による療育などが行われていきます。これまでの施設に対して、特に通所児の受入れ人数を増やしていますが、昨今の状況からすべてを受入れることがすでに困難となっています。そこで、集団生活が可能であったり、必要性が感じられる児においては、保育園幼稚園での療育を担うように考えられています。市内の小児科医からは、障がい等を抱える子どもたちの支えは、保育園幼稚園がキーになると言われています。
 しかしながら現在の保育者の力量は、このお子さんたちに適切な保育を提供できるものではないと受止めています。子どもの姿を観ること、年齢の発達を押さえること、どのようにそのお子さんの心に寄り添って、どのように保育を展開していくか。表面的な子どもの姿だけをとらえ、臨床心理士などの身近なアドバイスをしてくれる人の意見をほとんど吟味することなく参考にして、保育者自身が主体的に考察することもなく関わりをもっています。
 保育者は、子どもに関わっている時間の一番長い、子育ての専門家です。日々の姿を一番よく見ている、気持ちを一番わかっていける、そして適切に心に寄り添うことが出来るところにいます。保育心理士は、スキルを生かして、臨床心理士や理学療法士などのアドバイスを参考にしながら、また協力をしていただきながら、自身の主体的な考察をもって保育に臨んでいける人です。現代の社会環境を鑑みても、この先に生きていく人たちは、とても難しい社会を生きていくのではないかと思えてなりません。だからこそ、私たち保育心理士は、確かな成長と発達を支える専門家として活躍が大いに期待され、望まれていることです。


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