2017年4月
保育心理士エッセイ

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譲 西賢
(岐阜聖徳学園大学教育学部教授)


 「散る桜 残る桜も 散る桜」       


 毎年、桜の季節になると、江戸時代の禅僧良寛さんの「散る桜 残る桜も 散る桜」の句を思い出します。いろんな解釈が可能ですが、「すべてのいのちは、縁が届けば必ず死にます」と解釈するのが無難でしょうか。私は、比較無用のいのちを教えられる気がします。
早々と散る桜もあれば、風雨に耐えて枝に残る桜もあるように、人は皆、誰とも比較する必要のない自分だけのいのちを生きているから個人間の比較無用と教えられます。さらに、花咲く桜も、花の散った葉桜も、落葉する桜も、寒々とした枝の桜もすべてが桜ということです。1年すべての桜の姿があるから、花が咲きます。人生は、短くうれしいハイライトの生活のためには、目立たず辛く地味で忍耐の生活が必要ということでしょうか。でも、すべての時間が掛け替えのない自分ですから、個人内においても比較無用で、良し悪しは無く、すべてが自分自身と教えられます。保育の道も「散る桜 残る桜も 散る桜」ですよね。


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