2017年9月
保育心理士エッセイ

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加藤 豊弘
(幼児保育、教育、学校教育のカウンセラー・スーパーバイザー)


『子どもに学び子どもに還す』

現在、保育園や幼稚園を訪問し、年間延べ約300組の親子や担任の発達相談やカウンセリングを行っています。通常、午前中は、依頼のあった子どもたちの様子を子どもたちと触れ合いながら、クラスや園庭などでしっかり見ます。その子ども達の姿に応じて、午後から、保護者や担任と支援のための懇談をしていきます。
保育相談、教育相談は40年以上積み重ねていますが、近年はやはり発達障害、特に自閉症スペクトラム(ASD)の子どもたちの相談が多いと思います。その中には、医師からASDと診断され事業所に通所している親子もいるのですが、これまで体験した多くの事例を参考にして、その子とよく遊びその姿を丁寧に観察し、親子関係や家庭環境についても理解していく中で、再度その子の姿を見極めると、その困り感は、本当に発達障害(ASD等)かな?むしろ親子関係や家庭環境かもしれないな?と考えるケースやその逆に親は認めていないのですがASDと思われるケースもあります。診断(ASD等)の有無に基づく支援ももちろん大切ですが、その子どもの姿(実態やニーズ)に応じた園と家庭との相互理解による連携した支援(専門機関とも)を具体的で実践的(基礎的環境整備、SST、Tokenなど)におこなうことがとっても大切だと痛感しています。
保育心理士は、まさしく、保育・教育・福祉の現場で子どもに寄り添う支援者だと思います。現場で、子どもの姿から学び、子どもの未来への成長の姿として還していく(支援していく)重要な役割を担う、なくてはならない素晴らしい仕事だと思っています。子どもの発達や障害、支援の方法を具体的に学びながら「子学子還」(筆者の造語)を求めて共に歩みたいと思います。


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